LEVI’S#[sup ®] VINTAGE CLOTHING

BIRTH OF THE
BLUE JEAN

みんなをリベットで釘づけにする物語

リーバイ・ストラウス社とテーラーのヤコブ・デイビスが取得した伝説的な特許の150周年を祝って、Birth of the Blue Jean(ブルージーンズの誕生)という新しいコレクションをお届けします。そこで、Levi’s® Vintage Clothingのデザインディレクター、ポール・オニールに話を聞いてみました。この物語には間違いなく釘づけになるはずですよ。リベットで。

19世紀の後半のことです。アメリカ西部の農場、牧場、鉄道、金鉱での仕事は、埃と汚れと汗にまみれた、骨の折れるものでした。そんな仕事の最中に男性のズボンはしばしば、ポケットなどの負荷がかかる部分で裂けてしまいました。今ではこういったひどい破損は、クルマのタイヤにちなんで「パンク」と呼ばれています。

J.Wとして知られていたヤコブ・ウィリアム・デイビスは東欧ラトビアのリガ出身。アメリカ・ネバダ州のリノで仕事をしていた発明家志望の仕立屋です。テントや荷馬車のカバーの製造が専門だった彼は、ワークパンツの負荷がかかる部分にリベットを打つアイデアを思いつきました。そこで布地の仕入れ先だったサンフランシスコのリーバイ・ストラウスに手紙を書いたのです。材料を用意してくれないか、そして一緒に特許を申請しないか、と。

1873年5月20日、ヤコブ・デイビスとリーバイ・ストラウス社は、番号139,121の特許「衣料品のポケットの補強にリベットを使用する方法」 を取得します。そしてここに、リベットを打ち込んだブルージーンズが誕生しました。この新しい耐久性があったからこそ、Levi’s®はアメリカの未来を築く、たくましい労働者、異端児、起業家、アウトローたちに選ばれる服になったのです。

「このコレクションのために
行ったリサーチの中で、
リーバイ・ストラウスは
麦わらのカンカン帽をかぶった、
ユーモアのセンスにあふれた人
だったことがわかりました」—ポール・オニール
デザインディレクター
Levi’s® Vintage Clothing

リーバイ・ストラウスと組むことで、ヤコブ・デイビスはついに世界中で使われるものを発明できました。そのあとデイビスは、生涯リーバイ・ストラウス社の工場長として仕事を続けます。まさに伝説的なコラボレーションだったといえるでしょう。

一方、リーバイ・ストラウスはもともと、ドイツ・バイエルン州のブッテンハイムという街の出身でした。古いドイツ語でブッテンは「後ろ側」、ハイムは「家」を意味します。世界で最もアイコニックなジーンズの後ろ側に名前が刻まれ続けることになる人にとって、とても運命的な感じがします。

コレクション

「2023年春夏コレクションでは、Levi’s®のアーカイブで最も初期の時代にある服を、ひと針ひと針ずつ精密に再現しています。1870年代のダッククローズドフロントジャンパーやダックウエストオーバーオールなどです。これまでに確認されている最も古いレザーパッチは1875年3月以降のもので、『再特許』という文字が入っています。私たちはそれ以前にもパッチがあったことを知っているのですが、パッチに入ったテキスト全文を確認できないでいました。今回復刻する服のリサーチでは、パッチに『再特許』という文字が見つからないため、それが1875年以前のものだろうと想定しました。でもやはり、テキスト全文を完全に読むことはできなかったのです」

「そこでLevi’s®社内のヒストリアン(歴史担当者)であるトレイシー・パネクがスミソニアン博物館を訪れました。博物館にはLevi’s®が1960年代に寄付したLevi’s®コットンダックパンツがあり、トレイシーはパッチの写真を撮ることができたのです。こうして3つのパッチがそろいました。スミソニアンのパッチ、1875年以降のパッチ、そして私たちの目の前にある、より古いものと思われるパッチです。3つを見比べることで、より古いパッチの全文をようやく解読でき、そこに『再特許』の文字がないことを確定できました。ついに結論が出たのです。これらの服は1875年より前のものであると。私は14年間にわたってLevi’s®の服のリサーチを続けてきましたが、これはとてつもなく大きな発見でした。明らかな証拠によって、1875年より前の服を特定できたのですから。最高の気分でした。このコレクションには、その興奮が反映されているんです」

「オーバーオールのリベットにも
ボタンにも
ブランド名が
刻まれていません。
アーキュエットもありません。
間違いなく私たちのアーカイブで
一番古いものの一つです」—ポール・オニール
デザインディレクター
Levi’s® Vintage Clothing

ダックって、なに?

「ダックとはキャンバス生地のことです。キャンバスは、タテ糸とヨコ糸が1本ずつ交互に交差したいわゆる『平織り』です。だから、糸の交差する部分が小さな四角形になっているのが見えるでしょう。デニムは例えば3本のヨコ糸の上を通過したあと、1本のヨコ糸の下を通過する『綾織り』です。そして一定間隔を置いてそのパターンを反対方向に織ることで、斜めの線が見えるツイル生地になります。これがキャンバス生地とは異なる風合いが生まれる理由です。ワープと呼ばれるタテ糸はインディゴで、ウエフトと呼ばれるヨコ糸はナチュラルな白です。だからジーンズの裾を巻き上げると生成りの生地が見えるのです」